《思春期の心と絵を描くこと》6月のアトリエ計画

お知らせ

 こんにちは、小学生クラスのうみ、なみで取り組んできた「地球環境児童画展」の作品を無事に発送する事ができました。保護者の皆様には応募票などご協力頂き有難うございました。出品作品のコピーをスケッチブックに貼って今週中に持ち帰る予定ですのでご覧いただけましたら嬉しいです。持ち帰ったスケッチブックはお手数ですが次週お持ちいただけますようお願い致します。またお家で飾りたい作品がありましたらスケッチブックより切り離して使っていただいても構いませんのでぜひお使いください。

デッサンの中に見える個性

 今回は油絵教室ふねクラスのことについて書こうと思います。4月からふねクラスでは6年生の新たなメンバーを迎えて鉛筆デッサンの基礎に取り組んできました。この6月からいよいよ油絵での着彩表現に入っていきます。1ヶ月かけて丁寧に描かれた静物のデッサンを最後に並べて見てみると、同じ物を同じ様に鉛筆で描いているのにそれぞれの個性が現れているのが良く分かります。柔らかな線、勢いのある構図、平行感覚、視点や手の動かし方の違い。これらの違いを上手い下手で分けるのでなく、自分の表現として受け入れて、また他人の良さや特徴を受け入れていく事が10代を生きる彼ら彼女達にとって大きな意味がある気がしています。

10歳頃の絵画表現の変化

幼児から児童期の絵画表現は自分の内面の世界を表現したり、絵の世界に自分が入り込んだ様な視点で描かれる事が多く、それを表現する事に戸惑いもあまりありません。対して思春期に入る頃の絵画表現は自分とそれ以外の物とを対立させ区別させながら描いていきます。まるで自分自身に中からも抜け出して自分やその他のものを離れた所から見つめる様な視点をもっているのです。そうして自分自身を等身大の自分でもう一度見つけ出すのがこの時期の子どもたちなのだと思います。時々、「子どもが描く絵が、最近暗い内容で気がかりなのですが。」といった相談を受ける事がありますが、私はあまり心配いらないと思っています。自分を深く掘り下げていく中で死生観に触れる絵を描いたり、詩を描いたり、気持ちをノートに吐き出してみることは大人になった人なら経験があるのではないかと思います。心配し過ぎずに、でもそんな心の成長の時期に差し掛かっている事を気にかけて見守ってあげて欲しいと思います。そんな心の内側の吐露を隠しておきたいという気持ちも自然な事だと思います。この年齢の気持ちの混乱を冷静に見つめるための表現だと思うのです。

子ども達はどのように作品の見るのか

そして自分や仲間の作品を鑑賞する時も10歳頃までは自分を中心として辺りを見回す様な視点で、うまくできたな、面白いな、これは好きだな、といった視点で作品の世界観に入り込んでその内側から作品の世界を眺める様な視点で作品を楽しみます。好きなものや興味のあるものをたくさん見つけて自分の世界を広げていくのです。

対して10歳以降の子ども達は自分の作品も、他人の作品も客観的に横に並べてそれぞれの違いを見つけていく様な視点で作品を見つめていくのです。自分の作品に現れてくる自分というものを客観的な視点を持って見ることは、違和感があったり納得感があったりしながらも自分への理解を深める手助けになるでしょう。仲間からの感想や励ましの言葉は大きな助けになる事があります。

例えば自分では表現が小さいと思っていても、丁寧によくみて描いているという感想をもらう事があります。そうするとまた自分の新たな1面が見えてくるでしょう。

9歳の危機とは

最近シュタイナーの子育ての本を読み返していました。9歳の危機という言葉があるのですが、子ども達は9歳を境に少しずつ自分と世界を切り離した視点をもつ様になっていきます。そうして少しずつ自我を育てていくのです。それまでは自己と世界が一体となった感覚を持って過ごしていると言われています。例えば自分が嬉しいとお母さんも嬉しい、お花もお日様も笑っている様に感じていたのが、9歳を境に自分と世界は別々のものらしいと気づき始めて、その違いを確かめるために身近な大人を冷静に批判してみたりもして世界と自分の間にあるものをノックし始めるのです

思春期とはどんな時期か

思春期と呼ばれる年齢になると更に自我を確立するために他と衝突してみたり、反対に自分自身の存在を感じるために自分自身を責めたりもします。誰も自分のことを分かってくれない、分かってほしくない、でも分かってほしい。そんな気持ちの中で揺れながら、その感触を確かめながら、自分というものを理解して自ら再構築していく時期なのです。

 この年齢を乗り越えなければならない子ども達が、もしも絵を描く事が好きならば淡々と絵筆を走らせながら、そこにゆっくりと表出してくる自己を見つめる事になるでしょう。きっと自分を理解するための手助けになってくれると思います。描く時間は自分と向き合う良い時間になるはずです。ですからみんながうまく描けるためのアドバイスよりも、自分らしさに気づいてそこを自身の表現として受け入れていける様な声かけが大切だと思っています。時には深く、時にはただただ楽しく制作する中で上達だけではなくて自分の視点や世界の切り取り方、探求していきたい興味の矛先、そんなものに出会う瞬間がある様な気がします。

大人に求められること

この話を書いているのは、まさに私自身我が子の思春期の子育てについて考えたい事があったからなのですが、衝突したり、自分を責めたり、自信を失ったりすることも正しい育ちの過程なのですね。我が子の姿を応援しながら私自身も自分という軸をしっかり持って支えていかなければと思っています。子どもが自我を育てながらも悩む時、周りの大人が自分という軸をしっかりと持っていることは大切なことだと思います。自分の考えを持って子の前に立つことでしっかり衝突する事も、共感することも出来るのはずだから

「I am….I am…」ヨガの瞑想方で出てきたそんな言葉を呟きながら私自身自分の深いところに触れようとしながらこの6月を過ごしています。

6月の予定

 月曜クラス 5・12・19

 火曜クラス 6・13・20

 水曜クラス 7・14・21

7月の予定

 月(ふね)3・10・17

 火(くも,うみ)4・11・18

 水(もり、なみ)5・12・19

2023年夏アトリエは8月7~9か14~16を予定していますご都合などご希望がありましたらお声掛けください。