まず体験してよく感じる事から始まる。
2021年のアトリエのテーマはカラダです。2月のアトリエではヨガのポーズや瞑想でカラダと心に意識を向けて、カラダを描いたり紙を切り抜いて形を創る体験をしてから、ピエロの面白いポーズの制作に入って行きました。ポーズをとる時に力の入り方やカラダの連動や繋がりに意識を向ける声掛けをしたことで、しっかりとしたカラダの形を捉えた作品になってきています。ポーズをとってカラダを動かした後に少し静かな時間を取り戻すために瞑想にもチャレンジしました。難しいかなと思っていたのですが、子ども達は興味を持って取り組んでくれました。雑音を消して内側の静けさに浸った後の子ども達の目はなんだかいつもと違って、イメージの力が宿っているように見えました。そのイメージをこぼさないように粛々とその後に水彩画に取り組む姿はとても印象的で、時々また取り入れたいなと思っています。
《子どもの知識先行に対応する。目の前のことをよく見て感じて欲しい。》
「知ってる!」これは最近、子ども達がよく口にする言葉です。みんな何でも良く知っているなあと感心します。前述の瞑想をする時、「瞑想って知っているかな。」そんな風に問いかけると「知ってる知ってる!漫画で見たよ。アニメでみたよ。ああ、先生もあれを見たのね!?」「先生漫画の見過ぎだあ!」そんなやり取りがあり可愛らしくも面白くもあったのですが、少し考えさせられました。子ども達にとってこれから出会う事の多くがテレビや本やインターネットで先に情報として知っている事で、ともするとテレビやネットの世界をベースとして現実世界があるような感覚になる事もあるのかもしれないな、そう思うとなんとも言えない違和感を感じたのでした。私が感じていた漫画やアニメの世界観は現実世界が基になって、それに様々なものが付随してできたものという感覚はもしかして、古いものとなっていくのでしょうか。
体験から知識を得た世代。知識から体験へつながる世代。
私たち親の世代では体験に知識がついてくるという感覚を持っている人の方が多いのではないでしょうか。何か知識を得た時に、過去の体験が蘇り「ああ、あれはこういう事だったのか。」と理解します。先に体験した事があり、それが知識とつながり理解するという流れです。しかし、様々な情報に先に触れている子ども達にとっては、情報や知識に体験がついてくるという感覚なのでしょう。何かを体験した時に「ああ、テレビやネットでみた事あるよ知ってる!」と繋がるのわけです。知っている事が先で体験を通して初めて理解へと繋がっていくという流れです。それが悪い事かと聞かれたらうまく答えられないのですが。テレビやインターネットで得た知識には誰かの主観が含まれています。その誰かの感じ方に自分の感じ方が左右されてしまうと、先行した情報に現実が振り回されてしまう事も起こり得るかもしれないというのは言い過ぎでしょうか。
知識だけでは作りたい色は作れない。
アトリエの話に戻しますと、例えば青と黄で緑ができる事を子ども達はよく知っているでしょう。しかし、青と黄でできる色は、明るい黄緑から深い青緑で、そこにほんの少し赤を混ぜるとウグイス色や抹茶色ができ、もっと赤を足していくと茶色から灰色へと変化していきます。そして、その間にある沢山の色には名前はありません。「みどりはどうやってつくるの?」と聞いた人の思い描いている色は本当にみどり色なのでしょうか。「◯色は⬜︎と△を混ぜればできるよ。」という知識にとらわれてしまうと、自分の作りたい色にはたどり着けないかもしれません。知識が先行してしまうと色作りは目的のための作業となり、思い描いていた色以外は失敗と捉えてその面白さ、美しさは子ども達の体験からすり抜けてしまうかもしれません。
できる事なら真っ新な気持ちで、混色により色が生まれる事を発見するハッとする体験を子ども達にして欲しいのです。その時、子ども達はじっと目の前で生まれた不思議な色に陶酔し、しみ込むようにその色の美しさを味わいます。それが色の移り変わっていく微細なグラデーションの感覚を身につける重要な体験となるのです。実際に体験して感覚を身につける事でしかわからない事はたくさんあります。それがアトリエに来て手を汚したり、失敗を重ねながらやってみる事の意味だと思うのです。知っているから終わり!ではなく体験して分かる事がとっても大切だと思うのです。
ICT教育の発展と体験はセットでなくてはならない。
4月から茨城県ではICT教育の一環として小学1年生から1人に1台ノートパソコンが貸与される事となりました。この一年の新型コロナの流行を通して考えるとメリットはたくさんある事でしょう。しかし便利になる一方で抜け落ちてしまう事が必ずある事を忘れてはいけないと思います。これからの世代に知識が体験より先行していく事を止める事は難しいと思います。だからこそ、知っている事=分かっている事ではない事を自覚して、体験する事の価値を再認識し、知識をきかっけとして実際の体験に繋げていく意識が必要だと感じています。わからない事は悪い事ではなく、これから知る楽しみがあること。うまくいかずに失敗することは、本当に理解するための過程を味わっているということ。そんな認識が大切だと感じています。知っている事は知っている事。知らない事は知らない事。知っている事が持て囃された時代はそれが体験と密接に繋がっていたからではないでしょうか。これからの時代は、知っている事に慢心するのではなく、今まで以上に未だ知らぬ事に胸をときめかせる時代であって欲しいなと思っています。
3月のテーマ
「ピエロの行進」切り貼り
月曜クラス 1・8・15
火曜クラス 2・9・16
水曜クラス 3・10・17
4月の予定
月(にじ,ふね)12・19・26
火(くも,うみ)13・20・27
水(なみ)14・21・28
*単発アトリエかぜ3月27日(土)14時〜16時 申し込み受け付け中


